ざまクリニック所沢

ざまクリニック所沢 マニフェスト2019

フレイル対策

“平成最後の挨拶”の中でも記載した「自立喪失を来たす“脅威”」が、フレイルです。
“フレイル”とは「要介護になる危険性が高まっている状態」と理解しておけば良いでしょう。
フレイルの原因となる疾患は非常に多彩で、各疾患ごとに対策を考える必要があります。
故に、身体的および精神心理的フレイルを診断・治療する為に、“認知症を診る整形外科医”と言う不思議な組み合わせが必要だったのです。このマニフェストにある、以下の対策が全て、フレイルの改善に必要ですが、ほんの一部を書いたに過ぎません。
高齢者専門クリニックとして集めてきた“データ”を活用し、今後もフレイル回避策を強化していきます。
ざまクリニックホームページ“フレイル記事まとめ”も参照ください

MCI(軽度認知症障害)対策

この5月、政府は、認知症を抑制するための数値目標を初めて設定し、認知症の「予防」と認知症になっても住み慣れた地域で暮らせる「共生」を柱とする大綱を明らかにしました。世界保健機関(WHO)は、認知症の「予防」として、習慣的な運動や禁煙、血圧を適正に維持することや糖尿病治療などを推奨すると初の指針を公表しました。
認知症は不可逆的な自立喪失状態ですが、MCIには改善の余地が残されています。
ただし、科学的に確証を得た対策も無いのが実情です。サプリメントを飲めば解決するほど単純なものではなく、運動だけで防げるものでもありません。フランス政府が見切った抗認知症薬の使用をMCIに薦める認知症専門医がいますが、これなど論外です。
今後も、各症例の問題点を見つけ出し、保険医療内で個別に対処するよう心掛けていきます。

動脈硬化症対策

下肢の閉塞性動脈硬化症と坐骨神経障害の合併は珍しくなく、処方においても、「コレステロール盲信」に偏らない、動脈硬化の予防対策を行ってきました。頚動脈硬化と脳内病変の関連性も明らかになり、採血のみならず、頚動脈エコーによる管理を行います。

骨粗鬆症対策

骨折すると機能障害が大きい腰椎及び大腿骨の骨密度をDEXA法で測定し、骨年齢を診断、適切な治療を選択します。骨質劣化をきたす生活習慣病を合併している場合は骨質改善を目標に治療に努めます。
骨密度のみならず、認知機能維持にも効果がある“対策”を実行していきます。

筋力低下対策

筋肉量が減少し、筋力や身体機能が低下している状態をサルコペニアと呼びますが、運動不足から生じていると言った単純なものではなく、栄養面の管理等も必要となります。筋肉と認知機能の関連性も解明されつつあり、今後も、各自に適切な筋力強化訓練(下肢及び臀部)を選定し、自分が直接指導し継続的に管理します。

疼痛による機能障害対策

独自の高齢者疼痛対策は確立し、観血的治療が必要となる強い関節破壊や重度の坐骨神経障害を除けば、保存的治療による日常生活動作の維持が可能となっています。神経痛・関節痛・筋肉痛のみならず血行障害に対して、開院時より高濃度人工炭酸泉治療も併用して、効果をあげています。疼痛を克服して、自力歩行維持を目指していきます。

アンチエイジング外来 自由診療

【目標】

寝たきり3大疾患(動脈硬化症・認知症・骨関節疾患のうち骨粗鬆症)の回避

【検査】

①MCI(軽度認知障害)スクリーニング検査・・・採血のみ
②頚動脈エコー検査
③骨密度測定(DEXA法)
④AGE(終末糖化産物)
⑤各種バイオマーカーの測定


【対策】

①プラセンタ注射及びビタミン点滴
②サプリメント療法
③抗酸化療法:パーキンソン病に対する点滴など

院長コラム ~自分の目指す道~

日本の未来

日本は平成19年に65歳以上の高齢者人口割合が21%を超える超高齢社会となりました。(平成22年9月の推計では23.1%)
更に、平成30年頃には75歳以上の後期高齢者数が65~74歳の前期高齢者数を上回ると推測され、世界に類を見ない大変急速な高齢化が起きています。
如何に健康寿命の延伸を成し遂げ1人でも多くの高齢者が自立した生活を送れるか否かに日本の運命が懸かっていると言っても過言ではありません。
もちろん日本の優れた為政者の面々がこの点を考慮した政策を次々打ち出してくれるものと期待しています。

自分の目指すべき道

「人は血管とともに老いる」
自分が尊敬する時代を超越した傑物、ウイリアム・オスラー(1849~1919)博士の名言です。

この言葉の通り、血流の改善に徹した治療のみで神経痛による歩行障害が治癒した高齢者の方々に沢山出逢うことができました。
神経組織においても血流が如何に重要なのかを痛感させられたものでした。
ただ、身体の運動無くして歩行など運動機能の維持は不可能と言えます。

血流同様、運動機能を保つ事は認知機能の低下を抑制する上でも有効であり、運動による筋肉量の増加は高血圧や糖尿病など生活習慣病の治療においても欠くことはできません。
骨軟骨組織のみならず、血管 神経 筋肉を如何に良好に保持できるか各高齢者の方々の身体的特性を考慮しつつ、治療を進めたいと思います。
そして、各高齢者皆様の健康寿命の延伸に貢献でき1人でも多くの元気で健康な百寿者を当クリニックより輩出できますよう全力を尽くす所存です。

自分流の起点

憲法第11条に、「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない」とあります。
この一節が自分は小学校時代から大好きです。
なんら憲法とは関係がありませんが性格的に組織に従属したり、組織の名前を活用したりすることは鳥肌ものです。
それでも… 語らねばならない。
健康長寿医療に燃えるキッカケを与えてくれ、なおかつ所沢に導いてくれた感謝すべき病院があります。

それが、「東京都老人医療センター」現在の東京都健康長寿医療センターです。
平成4年から1年半、大学の関連病院として勤務しました。
老年医学界各分野の多くの重鎮がここと関わりがあると言っても過言ではありません。
今でこそ珍しくはないでしょうが約20年前の老人医療センターでは90~100歳の超高齢者を普通に診ることができました。

しかも科学研究費が与えられ、自分も1mlで何万円もするビタミンDを手に入れ骨芽細胞を培養し研究をさせて貰いました。
臨床面でも勤務期間中に大腿骨頚部骨折症例が2000件に達し、部長と「名球会入りですね」とか冗談を言える桁外れの内容でした。
大腿骨頚部骨折のDHS手術など、皮膚にメスを入れ 骨折部を固定し 皮膚を閉じるまで30分以内にできるようになる。
そんな環境でした。
ところが日増しに自分の関心は超高齢者間の機能低下の差に向くようになりました。
その当時、健康寿命日常的に介護を必要としないで自立した生活ができる生存期間のこと )なんて言葉はまだ無かったと思いますが、元気に活動でき自分と普通に会話ができる95歳の方もいれば… 立つので精一杯だったり、寝たきりの方もいる。

皆 いつまでも自立した活動ができないものか

信じられないくらい活動が行える方がいるのはナニかが関係しているはず、
そのナニかとは… これを絶えず考えて ムダに「加齢」し現在に至りました。

しかしながら近年、そのナニかが世界中の優秀な研究者達により解明されるに至り自分自身の健康にも治療に際しても活用できるまでになったのです。

話が長くなりましたが…老人医療センターのそりゃあ広い医局の片隅に机を貰っていました。
その隣りの机に座っていた現在 Harvard大学に留学している内科の先生から、センター勤務を終える際に整形のバイトにいかないかと紹介されたのがこの地、所沢だったのです。
以来18年間 所沢に・・・

今の自分はすべて、老人医療センターから始まっていたのです。